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口腔ケアーの重要性 No.2

唾液は感染症から守ってくれる スペイン風邪は1918年から1919年にかけて世界的に大流行し、5億人が感染して5千万人が亡くなりましたが、当時の記録では口腔内に何らかの病気があった人は無い人に比べ て2~4倍も感染しやすく、その上死亡率も同様に高かったそうです。2009年には新型インフルエンザが蔓延しましたが、基礎的研究により一部の歯周病菌は感染した細胞数を増加 させることが確認んされており、インフルエンザの感染を促進させる可能性が示唆されています。

 

現在蔓延している新型コロナウイルスはなかなか収束しませんが、感染して発症するに はまずウイルスが体の中に入り込み、体の中で増えなくてはなりません。従って、手にウイルスが付いても直ぐに感染するわけではなく、手に付着したウイルスが口の中に入り、 口腔内でウイルスが増えると、ACE 2という新型コロナウイルスの入り口が舌や口腔低粘膜に存在するため、体の中に入り込みます。

唾液が多いと、口臭や歯周病の原因となる菌の繁殖を防ぐため、以前から唾液の量が重視されてきました。風邪やインフルエンザにかかりやすい人とかかり難い人について調べ た研究では、かかり難い人では唾液の分泌量が多い事が明らかになりました。更に最近は、唾液の質も重要な事が判明し、唾液の中には感染の予防に役立つ成分が含まれていることが示されています。特にIgAと言う免疫に関する物質が重要で、1日に50~100mgが唾 液中に分泌され、口に入った細菌やウィルスにくっついて体内に入らない様にブロックし てくれます。この様に、唾液は消化に役立つだけでなく、感染症への防御にも役立っているのです。

 

疲労が続くと、突発性発疹の原因である人ヘルペスウイルス(HHV)-6と7が唾液中に増える事が報告されています。HHV-6と7には日本人の殆どが幼児期にこの感染し、その後もこのウイルスは体内に存在しています。その為、疲労によって免疫力が低下すると、再活性化して発疹が再発します。最近になって、このHHV-6はうつ病の発生にも関与してい る事が明らかになり、疲れた状況が続くと鬱状態になりやすいと言われますが、その機序 のひとつかもしれません。この様に、唾液は多方面に渡って重要な働きを行なっていま す。(日経ヘルス2020-10)